ワイヤーの内蔵処理

数年前よりブレーキワイヤー、シフトワイヤーの内蔵モデルが登場しました。以前はフレームに穴を開けるのは強度が落ちるということでタブーな状況だったと思うのですが現在では分析技術が確率したせいか使われる素材がカーボンになってからは普通に見られるようになりました。シマノが電動式シフトチェンジシステムであるDi2を発表してからは更にその勢いは加速し、油圧ディスクブレーキのホースまで内蔵になっているフレームも見られるようになりました。
しかし、内蔵する位置によっては問題を引き起こすこともあります。最近ヘッドチューブの正面や真横辺りから内蔵するフレームが多くなってきました。軽量化、コストダウンのためだと思います。というのはダウンチューブ等につけると何がしかの補強が必要になるからです。
ただ、ヘッドチューブに「ワイヤー受け」を付けるとワイヤーの長さが短くなることで曲率が高まり、ワイヤー内部の抵抗が増えることになります。結果、ブレーキ、シフトの引きが重くなりがちです。

特に小さいフレームサイズだとヘッドチューブそのものも短くなりステムも短くなるので更にキツくなりますし、日本で標準の左後ブレーキはコレに追い打ちをかけるようにブレーキワイヤーはキツいアールを描くことになり、その力は最近のプラスティック製のアウターエンドキャップを曲げてしまい結果的にフリクションをアップさせるようになりがちなのです。
そして、ハンドルを切る毎にこれが何度も繰り返されるので、アウターワイヤーのエンドが折れてしまいブレーキ、変速といった動作に支障をきたすことになります。
そして乗ってみると、これら曲率が高まったワイヤーがハンドリングに影響を与えることに気付くと思います。小さいサイズでは意外と無視できないぐらいに影響があるんです。
一般ユーザーにとってバイクが良い状態を長く保てることは、その重量や空気抵抗よりも大事なことなんじゃないかな~と、スペシャライズドのルーベやビアンキ・インフィニートのワイヤーの無理のない”作法”を見て、改めて思っています。
もちろん、ワイヤー内蔵でなくてもヘッドチューブ付近にアウター受けが付くと同じような問題が起きがちです。設計者は背が高いんでしょうね、きっと・・・。

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