去る2011年5月22日。イギリス・ダービーフォレストで開催されたワールドカップにおいて、チェコのヤロスラフ・クルハヴィーがが勝利を収めました。
彼が乗っていたのはSWエピック29。そう、29インチバイクが初めてW杯を制したのです。
スイスを中心としたヨーロッパ勢が上位を締めるW杯や世界選手権といったUCI主要大会では、昨年まで26erハードテールが圧倒的なリザルトを残しています。北米メーカーが29erを積極的に投入してはいるものの、抱えている選手レベルの違いから、かななか勝利できずにいたんです。
それが2012ロンドン五輪を前にして大きく流れが変わろうとしています。
100%人工的に作られ、管理されたレースコース。周回する中でスピードの上げ下げに身体やバイクを対応させるのではなく、スピードの上げ下げがない、つまりスピードを落とさない者しか上位に残れない、と予想されるからです。
これはオリンピックに限らず、W杯にも当てはまる傾向です。
保守的だったヨーロッパ勢がのきなみ29erに傾倒し、26ハードテールの代名詞的な存在であったJアブサロンでさえ、29erを実践投入です。ビッグホイールが持つスピード維持力が不可欠になりつつあります。
タイヤメーカーにしても、「まず26erタイヤを作って、その後29erをリリース」という時代は終わりを告げ、「26と29は同時進行」さらには「29er専用タイヤを用意」という時代へ突入しました。