白馬J1レポート

レースの世界にも、人には得手不得手というのがあります。
たとえばオイラは、泥や芝の路面が大の苦手。これらの共通点は「タイヤの転がりが重い」ってことです。
一方で比較的得意とするのは、締まったハードパック路面の長い上りとテクニカルなシングルトラックの下り、そしてハイスピードのダブルトラック。
たとえば愛媛・八幡浜や、アドベンチャーin富士見のコースなどはまさにハマるんですね。
上りでトラクションが掛かりやすい路面だからタイヤは細めのセミスリックでOK。
下りは成り行きで休んで、次の上りに備える、ってカンジです。
ところが軟らかい路面だときちんとしたブロックタイヤを使わざるを得ません。パワーがナイもんだから、「実は上りが遅い」という弱点というか弱さを露呈してしまうんですな。
残念ながら今回の白馬J1は、まさにそういったレースとなりました。
ということで、いつもの様に一部敬称略にてレポートです。
まずは前日(30日)から。
曇り時々小雨の中、試走を済ませる。
路面はウエットだが、上りは砂利の林道のためきちんとトラクションは掛かる。
タイヤチョイスを迷うところで、とりあえず試走はFスペシャ・レネゲード26×1.9/R同ファストトラックLK26×2.0。
マネージャーズミーティングでコースはシングルトラック部分がショートカットされ、Wトラックを中心に5周と発表。
さらに天気予報は回復傾向ということで、「ドライになるだろう」と谷監督から報告を受ける。
そんなワケで 夜にやまめ工房へおじゃまして、タイヤ交換。
Fスペシャ・レネゲード26×2.1/R同レネゲード26×1.9と完全ドライ仕様。
おまけにチエゾウお手製の夕飯をご馳走になってしまう。ありがたや〜。
 
うはは、じゅんくん、パパに似ていますな〜。
さて翌31日。天気予報は外れて雨……。
朝のレースを済ませた谷さんは前後レネゲードで走ったのだが「レネじゃ無理ッス〜」と泣いている。
マッド用のスペシャ・ストーム26×1.8を前後に入れるかどうか迷ったが、あくまでも天気予報を信じて試走時と同じFレネゲード26×1.9/Rファストトラック26×2.0に交換。
そして泥路面は「バイクを押す!」と割り切って、シューズにスパイクピンを装着。
そして14時と遅めのスタートを迎える。
1列目にはやる気満々のエース大江。 オイラは3列目。隣りにプロライド山口監督
  
グラウンドの直線をモガキ倒して、クランク状のコーナーをこなし、いざ上りへ。
大江は良い位置だ。オイラは20番目ぐらいか。
しかし、予想よりも路面状態が酷い。スポーツ、エキスパートとレースが行われ、すっかりぐちゃぐちゃになっている。
上りでトラクションが抜ける。路面が重い。ヤバイ。
力のあるライダーたちにどんどん抜かれて30位ぐらいまで落ちる。
40オーバーの面々、まぁ小林聖さんに抜かれるのは仕方ないとしても、船岡さんにも軽くかわされてしまい、「意気」は消沈だが「息」は消沈どころかハァハァだから情けない。
そして前方にトボトボとバイクを押しているエース大江を発見。どうした? パンクか? CO2ボンベは持っているのか??
「チェーンが切れちゃいました……」
なんてこった。残念だ。対策はレース後に考えるとしよう。
 
途中、雪輪の橘田さんや岩井の久保さんにも上りで抜かれるが、その後2周ほど前後。このシーンが自分の走りを象徴していたと思う。
途中にある、 【ハイスピードダート】→【泥下り】→【ハードパック上り】、という部分で追いつくのだが、その後の【泥シングル押し】で離され、→【泥ダブルトラック上り】で見えなくなり→【泥グラウンド】で遙か彼方、というのを繰り返すのだ。
いつもなら休んで呼吸を落ち着かせるはずのシングルトラックや繋ぎのダブルトラックで呼吸が荒くなってしまい、休めないから上りでペースが落ちる。
もしかしたら船岡さんや橘田さん、久保さんはドライであってもシングルで心拍が落ちていない(つまり休んでいない)のではないだろうか。
だからドライだとオイラの方が前でゴールできて、今回のようなウエットだと逆に彼らの強さの前に屈してしまうのか、などと想像しながら淡々と目の前の泥と格闘する。
正直、4周で切られると思っていた。
谷監督にも、4周目に入る時点で「ラスト頑張って!」と声を掛けられる。
だから4周目をむっちゃ頑張る。
エネルギー補給のGELを摂り、泥ながら熱くなった身体を冷やすために掛け水をかぶり、ラストスパートのつもりで追い込む。
 
雨こそ降っていないものの、周回を重ねるごとに路面状況は悪化するばかり。
リアの変速は泥と草が絡んで、トップ側7段ぐらいは歯飛びをおこす(つまり健在はロー側3枚)。
リアブレーキはパッドが摩耗しきったようで、ガリガリと不快な音を立てながらも制動仕切れない。
リアタイヤはトラクションが掛からないばかりか、2.0という太さでは泥が詰まってホイールが回らない。
ボトルにしても、受け取った直後でないと飲み口が汚れてしまうために補水できない状態だ。
そして何人かのライダーを抜き返して最終5周目に突入!!
順位はともかくとして、最終周回に入れたことに心の中でガッツポーズ。
しかし脚は残っていない。
一気に冷えて攣りそうになるふくらはぎをダマしながら上りをこなし、シングルを這うように押し、最後にスペシャライズド・コンセプトストアのウメさんに抜かれるも、後ろに張り付くことすらできずに離される。
ギャラリーやコミッセールにしても、もはやゼッケンやジャージでライダーを判断できる状態ではない。
  
そしてゴール。
33位という順位はともかくとして、自分の中では精一杯の走りをした。
心の中ではなく、本当にガッツポーズ。
ゴール後間もなく、表彰台が始まる。
優勝したのは山本カズ辻浦圭一との泥争いを制した小野寺健。前回のニセコJ1に続いて連勝だ。
おぉ、復活したな〜! 昨年までのの不調が嘘のようじゃないか!!
調子に乗せると手を付けられず、U23で幸平と争っていた頃の健ちゃんが思い出される。
結婚して子供ができて、単に幸せボケをしていただけなのか??
いずれにしても良く戻ってきてくれた!
エース大江よ、お前はココに絡めるのか?
むろん相手が強くて多いほど、やりがいがあるというものだ。
さぁ残り2戦、行くっきゃないぜ。
【foto by KANEYAN&KINOPPY】

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