2011年の29erを少し考えてみる

本日のロードの全日本は、梨絵ちゃん勝てなかったようですね。萩原麻由子さんがスタート直後から逃げて、そのまま80kmを独走したということです。全盛期のティエリー・マリーを彷彿とさせますな〜。古くてスミマセン。
「最後まで逃げ切れるワケがない」と後方集団がみくびったのか、萩原さん吸収後の展開を考えてしまったのかは分かりませんが、とにかく梨絵ちゃんを含めた集団の認識よりも萩原さんの力が勝っていたということは、リザルトが物語っています。

さて、キーストーンでの話題のひとつは、MTBの29erに関してです。3、4年前まではエンスーな人向けの乗り物と思われていましたが、もはや26を凌ごうとせん勢いだからです。2001年にゲーリー・フィッシャーが「今後は29erだ!」と打ち出したときは、フロントフォークがマルゾッキであったことが象徴するように、ホイールやタイヤを含めて重量物の塊でした。乗ってみると直進性が強いマッタリとしたフィーリング。
「林道なら良いかもしれないけど、コレじゃシングルトラックで取り回し切れないよ」というのが大方の意見でした。
しかし今になって思うのは、あのマッタリとした(し過ぎた)フィーリングは、タイヤ外径が29erだったということよりも、それらを構成するパーツ群があまりに重く、にもかかわらずヘッドサイズや素材の問題から剛性が低かったことの方が大きく影響していたのではないか、ということです。
ちょっと前までのスペシャライズドは29erに対して否定的で消極的でした。それが昨年にはトップレンジにテスト的に29erを投入し、今年はプレスキットに29erのページを作ってしまうほどにプッシュしてきているのです。
ここに29erに対する偏見が解消されつつあるという事実が存在しています。
ゲーリーフィッシャーに限らず、29er専門ブランドのナイナーや、フロントフォーク/タイヤ/ホイールといった部品メーカーが精力的に軽量・高性能な29er用パーツ群を作ったおかげもあり、さらには下側のコラム径を1.5インチ大口径化するといったヘッドサイズ規格の変更なども加わり、驚くほど軽快な走りがもたらされています。
「どこか一つの箇所が良くなったから」というのではなく「小さなこと一つひとつの積み重ね」が、29erの乗り味を変えたと言えます。その結果として当初指摘された「マッタリしすぎた」というデメリットがどんどんと小さくなり、相対的に「高い走破性」というメリットが大きくなりました。
そしてスペシャライズドにとっても、29erに消極的である理由はなくなったワケですね。

写真は、日本にも2011年から入る予定となっているレネゲードというタイヤ。ファストラックLKよりも使用範囲が広そうなドライ向けハイスピードタイヤです。29erの場合は、太いと「コーナーで外に持って行かれる感」が強くなりますが、29×1.95というサイズや2BLISSというスペックも含めて、バランスが良いという印象です。
たとえばこういったタイヤの登場も、29erのメリットが増すという一翼を担っているワケです。そしてMTBをホイールサイズで分類するのは、ある側面においてはもはやナンセンスになりつつあります。

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