カリフォルニア州モーガンヒルはにあるスペシャライズド本社。
そのファクトリーツアーに参加しました。
ではその様子を追ってみましょう。
本社の入り口に飾られているのは、ライダースクラブ(スペシャが主催するユーザーのクラブです)のファクトリーカー。3人3台が移動できる最小ワークストランスポーター!? 車高もベタベタに下げてあって良い雰囲気です。
社屋に入ると、一番最初に飾られているのが先日の世界選手権で優勝したクリストフ・サウザーの写真。これでもかっ、ていうぐらいに引き延ばされています。手前に飾られているのは09年にリリース予定の、次期Sワークスエピック。完成車で普通に9.6kg! ちなみにサウザーが使ったのは8kg台までシェイプされています。
入り口の右側は歴代のコンセプト車や選手が使用したバイクの展示室になっています。これは90年代初頭にネッド・オーバーエンドが使用していたバイク。後ろはサイクルワールド846テンションディスク。フロントサスはスペシャライズドの初代フューチャーショック。ロックショックスMAG21のOEM品でした。
スペシャライズドの創業社長であるマイク・シンヤードさん。VWのバンは、同社の最初の営業車です。今見てもクールな雰囲気ですね。
2階にはデザインルームがあります。全てのバイクがここでデザインされているわけです。
造形と同時に、カラーリングやロゴの入れ方、塗り分けなどもこのフロアが担当です。
壁には歴代のエピポックなコンセプトモデルなどが掛けられています。
デザインルームに置いてあったのは、09モデルのSワークスEPICのプロトタイプ。これはオールプラスチック製だそうで、各部のクリアランスやデザインを最終確認用するためのモックアップなのです。この後、金型を起こしてカーボンでの量産に入ります。ちなみに本社ファクトリーは設計とプロトの生産のみで、量産行程は台湾工場で行われます。
1階に移動しましょう。移動は消防署のように、床に空けられた穴からスルスルっと下ります。もちろん階段もありますのでご安心下さい(笑)。
一階にはQC(クオリティーコントロール)セクションがあります。これは定盤といって、スーパーフラットな面が出された板。その上にフレームを置いて、歪みの有無や真が出ているかどうかをチェックします。
24時間体制でフレーム強度がテストされています。油圧で各部にストレスを加えて、フレームをたわませるのです。長期にわって、フレームが割れないか、変形しないかをチェックしています。
QC室の隣には試作ルームがあります。各種の工作機械が並び、プロトタイプを制作するのです。これはNC(数値制御)式の旋盤。BB軸など、金属を円筒状や円錐状に削る機械です。
旋盤で制作されたプロトタイプの例。BB軸の中央に長さを変えるためのアダプターを入れる、という製品です。BB軸の長さが変わることで、チェーンライン(チェーンリングの位置)や、Qファクター(左右ペダルの開き具合)を変えられるのです。
スペシャライズド社は部品の問屋兼自転車用品メーカーとして創業しました。ここは元シッピングエリアですが、同セクションは現在はソルトレイクシティに移転しました。跡地は今、試乗車等を保管する倉庫となっています。
これはオーダーボトルの生産ライン。やはりかつてのシッピングエリアの一画にあります。
本社では自転車やパーツだけでなく、用品のデザインもしています。ここはヘルメット部門。壁には多数のイメージイラストが掲げられています。近未来的ですね。
さて、ざっと本社を見て回り、各セクションのスタッフから説明を受けたところで昼食です。
お疲れさまでした。
(CUB)